生活と、そのほかのこと 11/20〜11/26号
古い小説、新しい映画
少し前の小説を意識的に読んでいる。太宰治の『斜陽』や、谷崎潤一郎の『春琴抄』を読んでいると、こんなものが身近にあっても書き続けてきた同時代や後の時代の作家はすごいなと思う。わたしだったら太宰がいる時代に小説を書こうとできただろうか。モームの『月と六ペンス』を読んで、そういう気持ちはさらにふくらんだ。『月と六ペンス』は1919年に発表された作品だ。100年前にこれが書かれ、そして読まれてきた。それがつまりどういうことなのか、途方もなくてうまく考えることができない。
新しいものだって面白いし素晴らしい。それはその通りで、でもそういうことではなくて、蓄積があることや圧倒的な存在がすでにあるということについて、どう考えたらいいのかよくわからなくなる。
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た。2023年に公開されたアニメーション作品。傑作だと思う。もしかしたら気軽に傑作という言葉を使いすぎているかもしれないけれど、『ゲゲゲの謎』は間違いなく傑作だ。
新しいわけではない。「ゲゲゲの鬼太郎」が最初にアニメ化されたのは1968年だ。何度もリメイクされてきたものの、古くさいイメージは拭えない。
映像表現が取り立てて新しいわけでもない。『THE FIRST SLAM DUNK』のような新鮮な躍動感、『BLUE GIANT』のような音楽の視覚化、新海誠作品のもつ鮮やかな色彩など、わかりやすく新しいと感じられる表現や技術があるわけではないと思う。ストーリーも演出も横溝正史の金田一耕助シリーズなどを連想させるもので、その意味でも新しいとは言いにくい。
にもかかわらず、『ゲゲゲの謎』はとても新しいと感じる。どういうことなんだろう。知っている展開や設定や描写の断片はいくつもあった。組み合わせ方に新しさがあるのかもしれない。昭和の作品へのオマージュと、昭和の時代への批判の組み合わせ。暗くグロテスクで容赦のない物語と、縦横無尽なバトルアクションの組み合わせ。それはジブリ映画や『呪術廻戦』がやっている気もする。新しいわけではなくても、素晴らしい作品であることは間違いない。よくわからない。
作品は古典だからよいわけでも斬新だからよいわけでもなく、よいからよいのだという感覚はひとつ置いておきたいと思う。もちろん作品には背景があり歴史の中での文脈があるし、そうした流れの中できっとわたしも評価しているのだけれど、歴史における役割や立ち位置がどうこうだから作品が素晴らしいというわけではないはずだ。それならなんなんだろうと考える。わからないけれど、ともかく『ゲゲゲの謎』はもう一度映画館で観たいなと思っている。
食事と生活
11月20日(月)
夕食は、洋風肉じゃが、ナスとブロッコリーとしめじの中華風炒め、インスタントの味噌汁。
洋風肉じゃがは前日の残り。ブロッコリーも前日にレンジ蒸しをしたものの残り。日曜に多めに作ると月曜の夜がラクできる。
週末に倒しきれなかった原稿を倒す。締切がわりとゆるく設定されていたので、つい甘えてしまった。
11月21日(火)
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た。想定の5倍くらい傑作。こんな作品と新しく出会えるのかという驚きと感謝。
映画館から出ると継続案件の相談メールが来ていた。ありがたく受注。
夕食は、豚こまとピーマンとナスの塩炒め、だし巻き卵。
11月22日(水)
自宅作業日。英文和訳の校正作業など。どのラインを目指して作業すべきかの判断が難しい。
いつも仕事で使っている文字起こしソフトNottaのユーザーインタビューを受ける。こういうインタビューは自分が質問する側の立場にいた時期もあったりしたので、機会があれば受けていきたいと思っている。大抵の場合、自分の話を聞いてもらうのは面白いし、サービスの使い方を教えてもらえれば参考になる。
TVerで『水曜日のダウンタウン』の「名探偵津田」2週連続特集を観る。津田さんが自分の世界線がどこなのかわからなくなって混乱する場面、すごく面白かったな。
YouTubeで、アニメ『墓場鬼太郎』の第1話と、『ゲゲゲの鬼太郎』(6期)の第1話を観る。こんなにおもしろいことをやっていたのか。
夕飯は、出前館で頼んだ餃子と炒飯。
11月23日(木)
祝日。自宅にいる日に2日連続で晴れてくれると洗濯物が助かる。
Blueskyに流れてくる青空の写真を見ると、どうして自分は部屋にこもって仕事をしているのだろうかと思わずにはいられないが、仕事があるので仕事をする。この波が終わると落ち着いてしまいそうなので、それはまた不安だ。自分のプロジェクトを進められるように頑張りたい。
夕食は、冷凍食品の中華丼、焼きナスと油揚げ、冷奴。
11月24日(金)
今年の4月下旬ごろに録ったポッドキャストを聞き返した。
何をどう話したのかはすっかり忘れていたけれど、そのとき感じていた難しさのことはよく思い出せる。この感じをそのまま他の人に伝えられるとは思っていない。でも、この感じをなにかしら伝わるものにできたらいいなと思う。
夕方に天下一品ラーメンを食べた後、スターバックスでしばらく仕事をする。変な食べ合わせだ。
「フィクションの書き方がわからない」というタイトルで、しずかなインターネットに短い文章を書いた。これは比喩表現や展開をすこし誇張したエッセイであって、フィクションではない。いずれにしてもなにかを書きたい。
11月25日(土)
電気屋で新しいテレビを検討する。要素がいろいろとあって検討が難しい。
帰りに御座候を買う。呼称がよく話題になるお菓子だけど、そもそも身近にほとんどなかったので読んだ記憶もない。しいていうなら「今川焼き」だったような気がする。
Blueskyに写真を投稿したらすぐに反応があって、なんだかとても嬉しかった。このところインターネットの難しさを感じていた分、すこしホッとした。
夕食は、麻婆風ひき肉野菜炒め。ちょっと値段は高いけれど、この豆もやしはおいしい。
寝る前にスパゲッティを茹で、冷水で締めてから油とお酢であえて、冷蔵庫に入れる。ナポリタンを作るのだ。
11月26日(日)
家事と原稿の日。
ナポリタンをつくる。ケチャップをにんにくで炒めてピーマンとソーセージを入れ、昨夜のうちに茹でておいたスパゲッティを入れてさらに焼く。焼きそばだな。別のフライパンでつくっておいた目玉焼きを載せる。いいナポリタンだ。
ニトリまで行ってテレビ台を検討する。やはり考えることが多くて選ぶのは難しい。
夕食は寄せ鍋。スーパーでカニが安くなっていたので買った。身を食べるというよりも出汁にする感じのカニ。ほんとうにいい出汁がでていて美味しかった。他の具材は、鶏つみれ、ゴボウ天、白菜、水菜など。
次回は、12/6(水)に発行予定です。
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